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質疑応答

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ラジオノミーが日本をアクセス禁止国に

ネットラジオ配信サービスのラジオノミー(ベルギー)が2016年5月2日付で放送方針の変更を発表した。ラジオノミーが配信元のネットラジオ局に接続すると、アクセス禁止の音声案内に転送される。有名どころではラジオ・モーツァルトが聴けない。

これは米国で小規模局に対する著作権使用料の軽減措置(2006年から最大11年間)が終了したためで、今後米国のネットラジオ局は規模の大小を問わず大手メディアと同様の支払い義務が発生する。米国に事務所を構え、小規模局を膨大に抱えるラジオノミーは採算が合わず、使用料を抑える目的からチューンイン(米国)などのラジオ・ポータル経由の受信を禁止した。先日ラジオチューン(米国)が直リンクを禁止したのもこの使用料の高額化が原因。支払いが14倍になった局もあるという。米国ではすごい勢いで小規模局が廃止に追い込まれている。

ネットラジオ側と著作権利側の争いの経緯に関しては以下の文書(PDF)が参考になる。
【アメリカ】 インターネットラジオを救済する法律の成立

問題となった2016~2020年期の使用料改定については以下の記事が参考になる。
10 Important Things To Know About The Recent Copyright Royalty Board Decision
(米著作権料委員会の使用料改訂に関して知っておきたい10のこと)
US Government Officially Denies Small Webcaster Royalty Pleas
(米政府、小規模局の特例措置嘆願を斥ける)

著作権使用料は「定額×視聴者数×視聴時間」で計算する。視聴者数は米国在住者を数えるから日本在住者が接続しても支払いに影響を及ぼさないはずだが、今回、ラジオノミーのアクセス禁止国になぜか日本が入っている(アクセス禁止国一覧アクセス禁止国はどこ?)。公式には「視聴者の限られる国をアクセス禁止にした」とだけ書いてある。説明がないので断言できないが、ラジオノミーはソニーと著作権料をめぐって訴訟沙汰になっている。これが影響を及ぼした可能性がある。

ラジオノミー配信の各局は今回の変更に当惑し、対応に追われているようだ。今後、別の配信サービスを探したり、自鯖を立てたりする動きが活発化しよう。

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送信用紙

最終更新日 2016年05月12日